
子宮頸がんワクチン
子宮頸がんワクチン
子宮頸がんとは、子宮の出入り口(子宮頸部)にできるがんです。
がんは高齢者がかかる病気というイメージがありますが、子宮頸がんは30〜40代に発症のピークがあるがんで、病気により若くして亡くなったり子宮を失ったりする(妊娠できなくなる)ことから「マザーキラー」とも言われています。
日本では毎年約11,000人が子宮頸がんにかかり、約2,900人が亡くなっています。
また、30代までにこの病気の治療のために子宮を失う人が毎年約1,000人います。
子宮頸がんの原因のほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)によることがわかっています。
つまり、HPVワクチンによって「予防できるがん」なのです。
HPVワクチンの普及していない日本では、先進国の中で唯一子宮頸がんが増加し続けています。
WHOの発表では、15歳までに対象者の90%以上がHPVワクチンを接種することで、2070年までに子宮頸がんが根絶するといわれています。
実際、現時点で対象年齢のHPVワクチン接種率が70%を超えているオーストラリアでは、ワクチン導入前の感染率に比べて、HPV6・11・16・18型の感染率が全体で78%、3回接種者では93%も減少しており、2028年には子宮頸がんはほぼ根絶されると予想されています。
子宮頸がんの95%以上は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルス感染が原因です。その感染経路は、性的接触と考えられます。HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験のある女性の80%程度が一生に一度は感染すると推計されています。
HPV(ヒトパピローマウイルス)には100種類以上の型があり、そのうち子宮頸がんの原因となるのは少なくとも15種類あると言われています。中でも、発がん性のあるHPVの中でもっともハイリスクなのがHPV16型、18型です。子宮頸がんワクチンは、このもっともリスクの高いHPV16型、18型に対する効果があるように製剤設計されています。現在日本では2価、4価、9価の3種類の子宮頸がんワクチンがありますが、ハイリスクのHPV16型、18型をカバーした上で、追加でカバーする型の種類によって接種するワクチンの種類が変わってきます。
サーバリックス(2価) | ガーダシル(4価) | シルガード9(9価) | |
---|---|---|---|
予防対象となるHPV型 | 16、18 | 16、18 6、11 |
16、18 6、11 31、33、45、52、58 |
予防効果 | 子宮頸がん | 子宮頸がん 尖圭コンジローマ 肛門がん |
子宮頸がん 尖圭コンジローマ |
費用 | なし | 公費(無料) 自費の場合:17,600円/回(計3回) |
公費(無料)(令和5年4月~) 自費の場合:30,000円/回(計3回) |
対象 | 男性△(適応外) 女性〇 |
男性〇(自費) 女性〇 |
男性△ (※希望される場合は適応外接種となります。) 女性〇 |
当院での取り扱い | × | ○ | ○ |
HPVワクチンを接種するに当たり一番心配なのは、一時問題視されていましたHPVワクチンの副反応についてだと思います。副反応についてしっかりとお伝えいたします。
当院オリジナルの説明書もご用意しております。詳しくは受診時にご質問ください。
注射部位の疼痛(50%以上)、腫脹・紅斑(10-50%未満)、掻痒(痒み)・頭痛・発熱(10%未満)
過敏症反応(アナフィラキシー、気管支けいれん、じんましん等)、ギラン・バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が挙げられています。
しかし発生数そのものが極端に少なく、副反応の発生頻度も不明となっています。
国内では全身の痛みや歩行困難、睡眠障害や記憶障害など多岐にわたる症状も挙げられていますが、これらの重篤な副反応に関しても「ワクチンが直接の原因ではないストレス反応」の可能性が指摘されており、以下のように日本産科婦人科学会のホームページでも注意点が記載されています。
また、ワクチン接種ストレス関連反応(ISRR)について、日本小児科学会がわかりやすく解説していますので、心配な方はこちらも併せてご確認ください。
引用:日本産科婦人科学会‖子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために
世界保健機構(WHO)は最近、ワクチン接種ストレス関連反応(ISRR:Immunization stress-related response )という概念を提唱しています。接種前・接種時・接種直後に見られる急性反応としての頻脈・息切れ・口喝・手足のしびれ、めまい・過換気・失神等、そして、接種後の遅発性反応としての脱力・麻痺・異常な動き・不規則な歩行、言語障害等の解離性神経症状的反応などが含まれています。ワクチンが直接の原因ではない症状も含む好ましくない事象(有害事象)とワクチンの接種に伴う免疫の付与以外の反応(副反応)を区別して評価することが重要です。
副反応についての報道で、敬遠される方もいらっしゃるかもしれませんが、子宮頸がんの予防にはワクチンが最も効果的です。ご自身やお子さまの今後の人生のためにもHPVワクチン接種を受けましょう。
ご予約
お電話または、来院時に窓口でのご予約も可能です。
在庫がある場合は当日接種も可能ですので、お問い合わせください。
ご来院
ご来院いただき医師が接種を行います。
待機
接種後はしばらく安静にお待ちください。
当院では、リラックスして接種していただけるよう環境整備に努めております。
接種後は個室の休憩室で30分程休んでいただくことが可能です。
確認・帰宅
副反応などの状態がないかを確認してご帰宅いただきます。
3種類いずれも、1年以内に規定回数の接種を終えることが望ましいとされています。
※1:1回目と2回目の接種は、少なくとも5か月以上あけます。
5か月未満である場合、3回目の接種が必要になります。
※2.3:2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の2か月後と5か月後にできない場合、2回目は1回目から1か月以上(※2)、3回目は2回目から3か月以上(※3)あけます。
※2.3:2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の2か月後と5か月後にできない場合、2回目は1回目から1か月以上(※2)、3回目は2回目から3か月以上(※3)あけます。
※4.5:2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の1か月後と6か月後にできない場合、2回目は1回目から1か月以上(※4)、3回目は1回目から5か月以上、2回目から2か月半以上(※5)あけます。
項目 | 料金 |
---|---|
シルガード9 | 公費(無料):自費の場合1回30,000円 |
ガーダシル | 公費(無料):自費の場合1回17,600円 |
サーバリックス | 取り扱いなし |
いいえ。定期接種の対象のため、当院では知立市、刈谷市、高浜市にお住まいの対象年齢の女性は無料(公費費負担)で受けていただくことが可能です。自治体から案内があったキャッチアップ接種対象の方の接種も行っております。それ以外の方の費用は全額自己負担となります。
いいえありません。ワクチン接種と不妊症の関係性はありませんのでご安心ください。
17〜25歳は性交後でも70%はHPVに未感染というデータもあり、できるだけ早期に接種することで性交渉前の方と同様の効果が期待できます。
可能です。しかし、国は原則同じ種類のワクチンで接種を終えることを推奨しています。(現在、交互接種についてはどれだけ効果が上乗せされるのか、などの客観的なデータがないためです)
子宮頸がんにかかった20〜29歳の90%、30〜39歳の76%がHPV16・18型の感染が原因というデータがあります。つまり、従来の2価・4価ワクチンで十分な効果が期待できます。適切なタイミングで検診を受けていただくことで過度に恐れる必要はありません。9価ワクチンの自費接種は非常に高額になりますが、ご自身の判断で追加接種していただくことは可能です。
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