- 令和4年4月より、国が積極的にHPVワクチンの接種を推進する方針となりました(積極的勧奨)
- 令和5年3月より、15歳未満の方は標準的な接種スケジュールが2回接種となります(従来は3回接種)
- 令和5年4月より、従来の2価、4価ワクチンに加え9価ワクチン(シルガード9)が公費対象となりました
子宮頸がんワクチンとは
子宮頸がんとは、子宮の出入り口(子宮頸部)にできるがんです。
がんは高齢者がかかる病気というイメージがありますが、子宮頸がんは30〜40代に発症のピークがあるがんで、病気により若くして亡くなったり子宮を失ったりする(妊娠できなくなる)ことから「マザーキラー」とも言われています。
日本では毎年約11,000人が子宮頸がんにかかり、約2,900人が亡くなっています。
また、30代までにこの病気の治療のために子宮を失う人が毎年約1,000人います。
子宮頸がんの原因のほとんどがヒトパピローマウイルス(HPV)によることがわかっています。
つまり、HPVワクチンによって「予防できるがん」なのです。
HPVワクチンの普及していない日本では、先進国の中で唯一子宮頸がんが増加し続けています。
WHOの発表では、15歳までに対象者の90%以上がHPVワクチンを接種することで、2070年までに子宮頸がんが根絶するといわれています。
実際、現時点で対象年齢のHPVワクチン接種率が70%を超えているオーストラリアでは、ワクチン導入前の感染率に比べて、HPV6・11・16・18型の感染率が全体で78%、3回接種者では93%も減少しており、2028年には子宮頸がんはほぼ根絶されると予想されています。
HPVワクチンとは?
子宮頸がんの予防に
ワクチン接種を
子宮頸がんの95%以上は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルス感染が原因です。その感染経路は、性的接触と考えられます。HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験のある女性の80%程度が一生に一度は感染すると推計されています。
HPV(ヒトパピローマウイルス)には100種類以上の型があり、そのうち子宮頸がんの原因となるのは少なくとも15種類あると言われています。中でも、発がん性のあるHPVの中でもっともハイリスクなのがHPV16型、18型です。子宮頸がんワクチンは、このもっともリスクの高いHPV16型、18型に対する効果があるように製剤設計されています。現在日本では2価、4価、9価の3種類の子宮頸がんワクチンがありますが、ハイリスクのHPV16型、18型をカバーした上で、追加でカバーする型の種類によって接種するワクチンの種類が変わってきます。
サーバリックス (2価) |
ガーダシル (4価) |
シルガード9 (9価) |
|
---|---|---|---|
予防対象となるHPV型 | 16、18 | 16、18 6、11 |
16、18 6、11 31、33、45、52、58 |
予防効果 | 子宮頸がん | 子宮頸がん 尖圭コンジローマ 肛門がん |
子宮頸がん 尖圭コンジローマ |
費用 | なし | 公費(無料) 自費の場合: 17,600円/回(計3回) |
公費(無料) (令和5年4月~) 自費の場合: 30,000円/回(計3回) |
対象 | 男性△(適応外) 女性〇 |
男性〇(自費) 女性〇 |
男性△ (※希望される場合は適応外接種となります。) 女性〇 |
当院での取り扱い | × | 〇 | 〇 |
副反応は大丈夫なの?
HPVワクチンを接種するに当たり一番心配なのは、一時問題視されていましたHPVワクチンの副反応についてだと思います。副反応についてしっかりとお伝えいたします。
当院オリジナルの説明書もご用意しております。詳しくは受診時にご質問ください。
注射部位の疼痛(50%以上)、腫脹・紅斑(10-50%未満)、掻痒(痒み)・頭痛・発熱(10%未満)
過敏症反応(アナフィラキシー、気管支けいれん、じんましん等)、ギラン・バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が挙げられています。
しかし発生数そのものが極端に少なく、副反応の発生頻度も不明となっています。
国内では全身の痛みや歩行困難、睡眠障害や記憶障害など多岐にわたる症状も挙げられていますが、これらの重篤な副反応に関しても「ワクチンが直接の原因ではないストレス反応」の可能性が指摘されており、以下のように日本産科婦人科学会のホームページでも注意点が記載されています。
また、ワクチン接種ストレス関連反応(ISRR)について、日本小児科学会がわかりやすく解説していますので、心配な方はこちらも併せてご確認ください。
引用:日本産科婦人科学会‖子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために
世界保健機構(WHO)は最近、ワクチン接種ストレス関連反応(ISRR:Immunization stress-related response )という概念を提唱しています。接種前・接種時・接種直後に見られる急性反応としての頻脈・息切れ・口喝・手足のしびれ、めまい・過換気・失神等、そして、接種後の遅発性反応としての脱力・麻痺・異常な動き・不規則な歩行、言語障害等の解離性神経症状的反応などが含まれています。ワクチンが直接の原因ではない症状も含む好ましくない事象(有害事象)とワクチンの接種に伴う免疫の付与以外の反応(副反応)を区別して評価することが重要です。
正しく理解し接種すれば安全です。
副反応についての報道で、敬遠される方もいらっしゃるかもしれませんが、子宮頸がんの予防にはワクチンが最も効果的です。ご自身やお子さまの今後の人生のためにもHPVワクチン接種を受けましょう。
ワクチン接種の流れ
1ご予約
お電話または、来院時に窓口でのご予約も可能です。
在庫がある場合は当日接種も可能ですので、お問い合わせください。
2ご来院
ご来院いただき医師が接種を行います。
3待機
接種後はしばらく安静にお待ちください
当院では、リラックスして接種していただけるよう環境整備に努めております。
接種後は個室の休憩室で30分程休んでいただくことが可能です。
4確認・帰宅
副反応などの状態がないかを確認してご帰宅いただきます。
一般的な
接種スケジュール
3種類いずれも、1年以内に規定回数の接種を終えることが望ましいとされています。
シルガード9
1回目の接種を
15歳になるまでに
受ける場合
1回目の接種を
15歳になってから
受ける場合
※1:1回目と2回目の接種は、少なくとも5か月以上あけます。
5か月未満である場合、3回目の接種が必要になります。
※2.3:2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の2か月後と5か月後にできない場合、
2回目は1回目から1か月以上(※2)、3回目は2回目から3か月以上(※3)あけます。
ガーダシル
※2.3:2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の2か月後と5か月後にできない場合、
2回目は1回目から1か月以上(※2)、3回目は2回目から3か月以上(※3)あけます。
サーバリックス
※4.5:2回目と3回目の接種がそれぞれ1回目の1か月後と6か月後にできない場合、2回目は1回目から1か月以上(※4)、3回目は1回目から5か月以上、2回目から2か月半以上(※5)あけます。
料金
シルガード9 | 公費(無料):自費の場合1回30,000円 |
---|---|
ガーダシル | 公費(無料):自費の場合1回17,600円 |
サーバリックス | 取り扱いなし |
よくあるご質問
HPVワクチン9価は保険適用ですか?
いいえ。定期接種の対象のため、当院では知立市、刈谷市、高浜市にお住まいの対象年齢の女性は無料(公費費負担)で受けていただくことが可能です。自治体から案内があったキャッチアップ接種対象の方の接種も行っております。それ以外の方の費用は全額自己負担となります。
子宮頸がんワクチンの接種で不妊になることはありますか?
いいえありません。ワクチン接種と不妊症の関係性はありませんのでご安心ください。
性交渉の経験があると、その後に接種しても効果はないですか?
17〜25歳は性交後でも70%はHPVに未感染というデータもあり、できるだけ早期に接種することで性交渉前の方と同様の効果が期待できます。
2回接種まで2・4価ワクチンを接種しました。3回目だけ2価ワクチンを公費で打つことはできますか。
可能です。しかし、国は原則同じ種類のワクチンで接種を終えることを推奨しています。(現在、交互接種についてはどれだけ効果が上乗せされるのか、などの客観的なデータがないためです)
すでに2価・4価ワクチンを接種し終えてしまいました。9価が公費対象になったことで、
先に打った人が不公平な気持ちになります。9価を自費で打ち直した方がいいのでしょうか?
子宮頸がんにかかった20〜29歳の90%、30〜39歳の76%がHPV16・18型の感染が原因というデータがあります。つまり、従来の2価・4価ワクチンで十分な効果が期待できます。適切なタイミングで検診を受けていただくことで過度に恐れる必要はありません。9価ワクチンの自費接種は非常に高額になりますが、ご自身の判断で追加接種していただくことは可能です。
当院のHPVワクチン接種の
特徴
- 個室の休憩スペースがあり、リラックスして接種を受けることが可能。
- 当院オリジナルの説明書を準備しています。
- 男性も接種が可能です。(HPVは上咽頭がん、肛門がん、尖圭コンジローマの原因にもなるため、自身の予防効果を目的としています。ガーダシルは9歳以上の男性に適応がありますが、シルガード9は男性に対しては未承認となります。男性でシルガード9を希望される方は適応外使用となります。)