
子宮頸がんの予防に
ワクチン接種を
子宮頸がんの95%以上は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルス感染が原因です。その感染経路は、性的接触と考えられます。HPVはごくありふれたウイルスで、性交渉の経験のある女性の80%程度が一生に一度は感染すると推計されています。
HPV(ヒトパピローマウイルス)には100種類以上の型があり、そのうち子宮頸がんの原因となるのは少なくとも15種類あると言われています。中でも、発がん性のあるHPVの中でもっともハイリスクなのがHPV16型、18型です。子宮頸がんワクチンは、このもっともリスクの高いHPV16型、18型に対する効果があるように製剤設計されています。現在日本では2価、4価、9価の3種類の子宮頸がんワクチンがありますが、ハイリスクのHPV16型、18型をカバーした上で、追加でカバーする型の種類によって接種するワクチンの種類が変わってきます。
サーバリックス (2価) |
ガーダシル (4価) |
シルガード9 (9価) |
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予防対象となるHPV型 | 16、18 | 16、18 6、11 |
16、18 6、11 31、33、45、52、58 |
予防効果 | 子宮頸がん | 子宮頸がん 尖圭コンジローマ 肛門がん |
子宮頸がん 尖圭コンジローマ |
費用 | なし | 公費(無料) 自費の場合: 17,600円/回(計3回) |
公費(無料) (令和5年4月~) 自費の場合: 30,000円/回(計3回) |
対象 | 男性△(適応外) 女性〇 |
男性〇(自費) 女性〇 |
男性△ (※希望される場合は適応外接種となります。) 女性〇 |
当院での取り扱い | × | 〇 | 〇 |
副反応は大丈夫なの?
HPVワクチンを接種するに当たり一番心配なのは、一時問題視されていましたHPVワクチンの副反応についてだと思います。副反応についてしっかりとお伝えいたします。
当院オリジナルの説明書もご用意しております。詳しくは受診時にご質問ください。
注射部位の疼痛(50%以上)、腫脹・紅斑(10-50%未満)、掻痒(痒み)・頭痛・発熱(10%未満)
過敏症反応(アナフィラキシー、気管支けいれん、じんましん等)、ギラン・バレー症候群、特発性血小板減少性紫斑病、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が挙げられています。
しかし発生数そのものが極端に少なく、副反応の発生頻度も不明となっています。
国内では全身の痛みや歩行困難、睡眠障害や記憶障害など多岐にわたる症状も挙げられていますが、これらの重篤な副反応に関しても「ワクチンが直接の原因ではないストレス反応」の可能性が指摘されており、以下のように日本産科婦人科学会のホームページでも注意点が記載されています。
また、ワクチン接種ストレス関連反応(ISRR)について、日本小児科学会がわかりやすく解説していますので、心配な方はこちらも併せてご確認ください。
引用:日本産科婦人科学会‖子宮頸がんとHPVワクチンに関する正しい理解のために
世界保健機構(WHO)は最近、ワクチン接種ストレス関連反応(ISRR:Immunization stress-related response )という概念を提唱しています。接種前・接種時・接種直後に見られる急性反応としての頻脈・息切れ・口喝・手足のしびれ、めまい・過換気・失神等、そして、接種後の遅発性反応としての脱力・麻痺・異常な動き・不規則な歩行、言語障害等の解離性神経症状的反応などが含まれています。ワクチンが直接の原因ではない症状も含む好ましくない事象(有害事象)とワクチンの接種に伴う免疫の付与以外の反応(副反応)を区別して評価することが重要です。
正しく理解し接種すれば安全です。
副反応についての報道で、敬遠される方もいらっしゃるかもしれませんが、子宮頸がんの予防にはワクチンが最も効果的です。ご自身やお子さまの今後の人生のためにもHPVワクチン接種を受けましょう。